孤独なアリ、寿命が短かった

産業技術総合研究所などの研究チームは、アリが孤立すると、体内で活性酸素が増えて細胞を傷つける「酸化ストレス」が多く引き起こされることを発見した。孤立アリが集団生活する個体より短命になる仕組みを解明した。ヒトを含む社会性を持つ生物で、同様のメカニズムが働いている可能性があるという。

まず、1匹で飼育しているアリと、10匹で飼っている集団アリの行動を比べた。孤立アリは壁際に長時間とどまり、身を隠す巣で過ごす時間が短くなるなどの行動異常がみられた。

孤立アリと集団アリの遺伝子発現を比較すると、孤立アリでは酸化ストレスに関わる遺伝子がより変化していた。孤立アリの中でも、壁際に長く滞在した個体の方が、強い酸化ストレス応答を示す傾向もみられた。孤立アリに酸化ストレスを抑える薬剤を投与すると、寿命の短縮が緩和された。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC281MV0Y3A920C2000000/