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https://digital.asahi.com/articles/DA3S14494791.html

ルノー、１．５万人規模削減　全従業員の８％　３社連合の提携強化

仏自動車大手ルノーは２９日、経営再建に向けて２０億ユーロ（約２３８０億円）規模のコスト削減策を発表した。今後３年で仏国内を含む工場閉鎖などを進め、世界の全従業員の約８％にあたる１万５千人規模の人員削減をするとした。ただ、資金面で頼る仏政府の影響力も増しており、実現には不透明さも漂う。

　ルノーの削減策は大きく三つに分かれる。

　一つ目は生産体制の見直し。フランス国内の複数の工場を含めて閉鎖や用途の転用を進め、世界の生産台数を２０２４年までに現在の４００万台規模から３３０万台に引き下げる。

　二つ目が、２７日に発表した日産自動車、三菱自動車による３社連合の提携強化への取り組みだ。研究開発や部品調達の共通化を進めて効率化を図る。三つ目は、マーケティング費用などの圧縮となる。

　ルノーは日産と同じく、カルロス・ゴーン前会長のもとで拡大路線を歩んだが、過剰投資で収益が悪化。環境技術などに力を入れたがブランド力が弱く、新車の販売価格を上げられずに苦しんだ。１９年１２月期の決算は、１０年ぶりに純損益が赤字に転落し、収益改善が急務だった。

　■仏政府の思惑が左右

　ルノーは経営再建の道筋を、３社連合の提携強化をテコに描く。コスト削減だけでなく、将来的に欧州市場で主力になる電気自動車（ＥＶ）の開発も大部分を日産に委ねる計画だ。

　しかし、その出足をコロナ禍に襲われ、状況は厳しさを増している。

　コロナ対策で各国が経済を凍結した４月の欧州連合（ＥＵ）域内の新車販売台数は、前年同月比７６％減に落ち込んだ。ルノーも販売が急減し、手元資金を厚くするため大株主でもある仏政府に支援を申し出た。

　仏政府は５０億ユーロの政府保証付き融資で応える姿勢だ。だが、見返りに、再編が報じられた工場の「従業員の将来」を保証するよう要求した。２９日のウェブ会見でルノーのジャンドミニク・スナール会長は
工場閉鎖への明言を避け、「労働組合や地元自治体と緊密な協議の上に進める」と話した。仏政府は、仏独で進めるＥＶ電池の開発事業へのルノーの参画も注文した。マクロン大統領はコロナ禍からの経済再生の原動力にしたい考えだ。

　仏政府の思惑はこれまでもルノーの戦略に水を差してきた。ルノーとのすれ違いが続けば、３社連合の強化戦略が再び振り回される恐れもある。