大男「後輩の女の子に頭ポンポンするやつやったら脳挫傷起こしちまった！」

大男（ずいぶん落ち込んでるな。無理もねえ……励ましてやるか）

大男「おーい、元気出せよ」

後輩女「先輩……」

大男「頭出せよ」

後輩女「え……もしかして、ポンポンしてくれるっすか！？　漫画でよく見るヤツ！」

大男「ああ」ｽｯ…

ﾎﾟﾝ　ズンッ！！！

大男「それがその……こいつの頭ポンポンしてやったら、ブッ倒れちまって……」

課長「それはいかん！　すぐ救急車を呼ぶんだ！」

大男「は、はいっ！」

ﾋﾟｰﾎﾟｰﾋﾟｰﾎﾟｰ…

医者「脳挫傷を起こしています」

大男「脳挫傷……！」

医者「ようするに、脳が打撲状態にあるということです」

医者「これより緊急手術に入りますが、難しい手術になるでしょう」

課長「なんとか助けてあげて下さい」

大男「よ、よろしくお願いします！」

大男「……」

課長「あの子ならきっと大丈夫だ。そう気を落とすな」

課長「お前は悪くない。ちょっと力が入りすぎただけなんだからな」

大男「……はい」

課長「あの子の生命力を信じよう。我々にできることは祈ることだけだ」

大男「帰ってきてくれ……！」

課長「頑張れ……！」

医者「……」ｶﾞﾁｬｯ

大男「手術は！？　どうなりました！？」

医者「手術は……成功です」

大男「ホントですか！」

医者「しかし、損傷した部位が部位ですので、まだ油断はできませんが……」

大男「ありがとうございます！」

課長「よかったな！」

大男「はいっ！」

後輩女「先輩があたしの頭をポンポンしてくれて……」

大男「そうか……」

大男「だけど、もうあんなことはしないから――」

後輩女「いえ！　あれはあたしの頭が軟弱すぎたのが悪いんす！」

大男「え」

後輩女「あたし……退院したら頭を鍛えるっす！」

大男「おめでとう！」

後輩女「それじゃさっそく、頭を鍛えるっす！」

大男「鍛えるってどうやって……」

後輩女「こうやって壁に……えいっ！　えいっ！」

ゴンッ！　ゴンッ！

大男「なにいいいいいいい！？」

後輩女「スーパーで買った牛乳を……」ﾊﾟｶｯ

後輩女「飲むっす！」ｸﾞﾋﾞｯ

大男「うおお、紙パックをそのままいった！」

後輩女「……」ｺﾞｷｭｺﾞｷｭｺﾞｷｭ

後輩女「ぷはーっ！　うまいっす！」

大男「ヒゲができてるぞ」

後輩女「あ……」ｺﾞｼｺﾞｼ

後輩女「はいっす！　思い切りやってくれっす！」

坊主「では……せーのっ！」ﾌﾞｵｯ

ゴーンッ！

後輩女「……全然痛くないっす！」

坊主「ほっほっほ、私の鐘鳴らしに耐えるとは……」

大男「鍛えられちゃったよ……」

医者「全く異常は見られません」

後輩女「やったっす！」

大男「マジですか」

医者「それどころか、これほど頑強な頭蓋骨や脳は初めてです！」

医者「おそらく人類史上最高クラスでしょう……！」

後輩女「ありがとうございますっす！」

大男「……ここまできたら、褒めるしかねえな」

後輩女「はいっす！」

大男「じゃあ改めて、ポンポンさせてもらうぜ」

後輩女「お願いしますっす！」

大男「よく……頑張ったな」ｽｯ…

ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

後輩女「平気っす！」

大男「おおっ！」

後輩女「これであたし、心おきなくいくらでもポンポンしてもらえるっす！」

大男「やったな！」

大男「よーし、今日はもっともっとポンポンしてやるぞ！」

ﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝﾎﾟﾝ…

課長「ちょっと来い」

後輩女「はいっす！」

課長「“はいっす”じゃなくて“はい”だろうが……まぁ、それはいい」

課長「なんだこの書類は！？」

後輩女「ううっ……」

課長「もっと頭を使え！　バカタレが！」

後輩女「……」

後輩女「使うっす！」

課長「ほう、やってみせろ！」