【能登地震】「ミイ、今どこに」独り暮らし支えた猫不明　軒先に餌置くも現れたのは見知らぬ黒猫…がれきの中を捜し続ける76歳女性

「ミイ、ミイ、どこ行った」。最大震度６強の揺れに襲われた石川県輪島市の路地裏に、箱瀬春子さん（７６）のか細い声がこだまする。独り暮らしを支えた愛猫が地震で行方が分からない。「どこかでおびえとるかもしれん」。寒さの中、周辺の倒壊家屋の下をのぞき込む日が続く。

箱瀬さんが住むのは、地震に伴う火災で広範囲が焼失した「朝市通り」にほど近い住宅地。家は全壊を免れたが、食器棚や仏壇をはじめ、あらゆる家具が倒れ、足の踏み場がない。
　
生まれも育ちも輪島。夫はもうおらず、娘夫婦と大学生の孫は神戸に。独り暮らしを慰めてくれたのが、１年以上前に拾った「ミイ」だった。
　
１日、こたつでのんびりしていた箱瀬さんは、突然の大きな揺れと津波が来るという情報に、慌てて山の方の避難所に逃げ出した。「ミイを連れて行く余裕はなかった」と悔やむ。
　
翌日は自宅近くの避難所に移動。避難所ではほとんど眠れないが、家で一人で余震におびえて暮らすよりましだという。毎日自宅や周辺を歩き、ミイを捜す。「きっとおなかが減っとるやろう」と、軒先に餌を入れた皿を置いた。
　
ある日、餌が減っているのに気付いた。「どこかにミイがおる」。しかし、その後軒先に現れたのは見知らぬ黒い猫だった。
　
市内の避難所では、犬や猫などペットを連れて避難してくる被災者が少なくない。一方で、箱瀬さんのようにペットの行方が分からず、がれきの中を捜し回る人も多い。

時事通信　2024年01月10日13時31分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011000138&g=soc

軒先に餌置くも現れたのは見知らぬ黒猫

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