肛門の横に小さい穴開いて膿出てきてるんだけど、なんだよこれ・・・　肛門の赤ちゃんかよ　めっちゃ痛いんだけど

https://www.asahi.com/articles/ASP5G6F9KP5GTIPE01G.html

私の人工肛門体験記――オストメイトマークは、ご存じ？

直腸がんの手術で重要なのが肛門（こうもん）を残せるかどうかです。がんが肛門に近いと肛門ごと切除しなければなりません。私の場合はギリギリ肛門を温存できました。がんを切除したあとに腸の端と端を縫い合わせるのですが、縫い代が少なくて外科の先生方は苦労なさったそうです。手術後しばらくは肛門に縫い糸が残っていてチクチクしました。

　縫い合わせたところが破れたり感染したりするとたいへんです。肛門付近の縫合部を休ませるために、一時的に人工肛門（消化管ストーマ）を造りました。おなかに腸の出口を造り、便はそこから排出されるので便は肛門を通過しません。3カ月後に縫合不全がないことを確認して人工肛門は閉じました。

　病気や事故によりおなかにストーマを造った人を「オストメイト」と呼びます。私は3カ月間だけオストメイトになったわけです。外科は専門外ではありますが、医学生のときに習ったりオストメイトの患者さんを診察したりして人工肛門についての知識はありました。でも、当事者になってみないとわからないことはいくらでもあります。オストメイトも千差万別で個人個人で異なる事情がありますが、私の場合は以下のような感じでした。

　人工肛門には穴を閉じるための筋肉（括約筋）がありませんので自分の意思で排便をコントロールできません。そこでストーマ装具を着けます。便が漏れないように人工肛門の周りにシール（面板）を貼り、便は袋にためます。ストーマ装具を着けても日常生活にはほとんど制限がありませんでした。ストーマを造ったあとも普通に働いていまし、お風呂にも入れます。臭いもほぼありません。

　困ったことは、かゆくなってもシールの上からしか搔けないことです。まさしく隔靴搔痒（かっかそうよう）です。シールは3日おきに張り替えていましたが、直接搔けるのはそのときだけです。私は入浴のときに張り替えていました。シールは人工肛門の形に合わせて穴を切り取ります。穴が小さすぎると人工肛門を傷つけますし、穴が広すぎると便と皮膚が接触して肌荒れの原因になります。接着部位の皮膚はきれいに洗い、水分も丁寧にぬぐってシールを貼ります。雑に貼るとそこから便が漏れて剝がれます。

　便意は感じませんので忘れずに定期的にトイレに行き、ストーマ袋にたまった便を流す必要があります。袋の出口は便座より高い位置にあり、立ったままではできません。自宅のトイレは床がきれいですので膝をついていましたが、外出先のトイレで膝はつきたくありません。中腰で処置をする技を身に付けました。私は若くて足腰もしっかりしていたのでよかったですが、足腰が弱った人はたいへんです。

　多目的トイレなどにはオストメイト対応のものがあります。便座に相当する汚物流しの位置が高く設置されいて、中腰にならなくても済みます。ストーマ袋を洗浄するためのシャワーがついているトイレもあります。オストメイト対応トイレには「オストメイトマーク」が掲示されています。おなかの下のほうにある白抜きの十字が人工肛門を表しています。

　オストメイトマークを目にしたことがあっても、どのような意味なのかよく知らなかった人もいらっしゃるのではないでしょうか。これを機会に、ぜひ覚えておいてください。

　私は肛門を温存できましたのでオストメイトだったのは短い期間です。しかし、肛門を切除した人は一生、人工肛門と付き合っていかなければなりません。直腸がん以外にもさまざまな病気やけがでストーマを造った人がいます。オストメイトは見た目ではわかりません。「健常者なのに多目的トイレを使っている」という誤解を受けることもあるそうです。ご理解のほど、よろしくお願いします。